多くの配信者やクリエイターにとって、作業効率を飛躍的に向上させるストリームコントローラーは重要なツールです。この分野ではElgato Stream Deckシリーズが定番として広く認知されていますが、Razerからも「Stream Controller X」という製品が登場しています。
本記事では、このRazer Stream Controller Xが、競合のElgato Stream Deckと比べて、機能、使い勝手、そしてどのようなユーザーにとって価値ある選択肢となり得るのかを、ユーザーのリアルな声も交えながら深く掘り下げていきます。
- Razer Stream Controller X
- 実際に使ってみた感想:セットアップから実践投入まで
- メリット・デメリット
- 口コミ・評判
- Razer Stream Controller X はこんな人にオススメ!
- まとめ:Razer Stream Controller Xは「買い」なのか?
Razer Stream Controller X
Razer Stream Controller Xは、パソコンでの配信やクリエイティブ作業をより直感的かつ効率的に行うために設計されたデバイスです。15個のカスタマイズ可能なLCDボタンを備え、複雑な操作をワンタッチで実行可能にします。その心臓部には、フィンランドのLoupedeck社が開発した強力なカスタマイズソフトウェアが採用されており、これが本製品の大きな特徴の一つとなっています。
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カスタマイズ可能な15個のLCDボタン
Stream Controller Xの前面には、15個のLCDボタンが配置されています。これらのボタンには、それぞれ独立して機能やマクロ(一連の操作を自動化するプログラム)、ショートカットなどを割り当てられます。LCDスクリーンであるため、各ボタンに任意のアイコンやテキストを表示させることができ、どのボタンに何の機能が割り当てられているかを直感的に把握できます。
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Loupedeckソフトウェアによる高度な制御
本製品の最大の特徴とも言えるのが、Loupedeck社のソフトウェアとの連携です。このソフトウェアは、非常に柔軟かつ高度なカスタマイズオプションを提供し、配信ソフトウェア(OBS Studioなど)はもちろん、Adobe Creative Cloudのようなプロフェッショナル向けの編集ソフト、さらにはOSレベルの操作に至るまで、幅広いアプリケーションとの連携を実現します。ユーザーは細かなアクションの組み合わせや、条件に応じた動作の変更など、思い通りの制御環境を構築できます。
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Razerエコシステムとの連携可能性
Razer製品であるため、同社の統合管理ソフトウェア「Razer Synapse」との連携も視野に入ります。これにより、他のRazer製ゲーミングデバイス(マウス、キーボード、ヘッドセットなど)と設定やライティング効果を同期させたり、よりシームレスな操作環境を構築したりできる可能性があります。Razer製品で周辺機器を統一しているユーザーにとっては、魅力的な要素となるでしょう。
実際に使ってみた感想:セットアップから実践投入まで
Razer Stream Controller Xを実際にセットアップし、日々の作業で使用してみた際の印象や気づいた点をまとめました。Elgato Stream Deckという強力な競合製品と同価格帯であることを考えると、細かな使い勝手や安定性がより重要になってきます。
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開封とセットアッププロセス
製品パッケージには、コントローラー本体、USBケーブル、そして非常にシンプルな説明書が含まれています。PCとの物理的な接続はUSBケーブル一本で完了し、特に迷うことはありません。ソフトウェアのインストールも指示に従えば進められますが、付属の説明書は情報量が少なく、この種のデバイスに不慣れなユーザーは、より詳細なガイドを求めるかもしれません。
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操作感とソフトウェアの言語の壁
ボタンのクリック感は明確ですが、一部ユーザーからは「ボタンの感度が良すぎる(軽すぎる)」ため、意図しない入力が発生しやすいとの指摘があります。これは慣れが必要な部分かもしれません。カスタマイズの核となるLoupedeckソフトウェアは非常に高機能ですが、インターフェースが英語のみであり、日本語には対応していません。英語に自信がないユーザーにとっては、設定の際にややハードルを感じるでしょう。
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実用性と見過ごせない安定性の問題
主要な配信ソフトや編集ソフトとの連携はスムーズで、シーン切り替えやショートカット実行といった操作は快適に行えます。作業効率の向上に貢献するポテンシャルは十分に感じられます。しかし、複数のユーザーからパソコンがスリープモードから復帰した際に、Stream Controller Xが認識されなくなるという深刻な問題が報告されています。この現象が発生すると、USBケーブルを一度抜き差しするまでデバイスが使用できなくなります。日常的にスリープモードを利用するユーザーにとっては、この問題は大きなストレス要因となり、同価格帯の競合製品と比較した場合、看過できない欠点と言わざるを得ません。
メリット・デメリット
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メリット
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Loupedeckソフトウェアによる卓越したカスタマイズ性
本製品の最大の強みは、Loupedeckソフトウェアが提供する非常に高度なカスタマイズ機能です。単純なキー割り当てに留まらず、複雑なマクロ作成、複数のアクションのシーケンス実行、さらにはプラグインを通じた多様なアプリケーション制御が可能です。特定のワークフローを徹底的に効率化したいユーザーにとっては、この柔軟性が大きな魅力となるでしょう。
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Razer Synapseとの連携によるエコシステムの魅力
既に他のRazer製デバイスを使用しているユーザーにとっては、Razer Synapseを介した設定の同期や、統一されたライティングコントロールといったエコシステム内での連携が期待できます。これにより、デスク周りの美観と機能性を両立させたい場合にメリットを感じられます。
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デメリット・注意点
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スリープ復帰時の認識不良という致命的な問題
競合製品と同等の価格でありながら、スリープからの復帰時にデバイスが認識されなくなるという問題は、使用感に著しく悪影響を与えます。USBの抜き差しで対処可能とはいえ、これは根本的な解決とは言えず、安定性を重視するユーザーにとっては受け入れがたい欠点です。
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ソフトウェアの日本語非対応
設定に必須のLoupedeckソフトウェアが英語表記のみである点は、日本のユーザーにとって大きなデメリットです。直感的に理解しにくい部分もあり、設定の自由度を十分に活かせない可能性があります。
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Elgato Stream Deckに劣るプラグインエコシステム
Elgato Stream Deckは長年の実績により、非常に豊富で成熟したプラグインエコシステムを誇ります。特に日本国内の特定のサービスやアプリケーションとの連携においては、Razer Stream Controller X(Loupedeck)の対応が遅れている面が見られます。
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ボタンの感度と説明書の不親切さ
ボタンが軽すぎると感じるユーザーがいる点や、説明書の情報量が少ない点は、製品の完成度という観点から見るとマイナスポイントです。同価格帯の競合製品と比較した場合、こうした細部の作り込みも評価の対象となります。
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口コミ・評判
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良い口コミ
- 「Loupedeckソフトウェアのカスタマイズ性はStream Deck以上だと感じる。複雑な設定をしたい人には良い。」
- 「OBSの操作や特定のアプリのショートカットを割り当てる分には十分使える。」
- 「Razer製品で揃えているので、デザインの統一感は気に入っている。」
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悪い口コミ・改善を望む声
- 「Stream Deckと値段が変わらないのに、スリープ復帰で認識しないのは致命的。毎回USBを抜き差しするのは本当に面倒。」
- 「Loupedeckのソフトが英語のみなのが辛い。日本語化を強く希望する。」
- 「Stream Deckに比べて対応しているプラグインが少ない。特に日本のVTuber関連のツールとの連携が弱いと感じる。」
- 「ボタンが軽くて、意図せず押してしまうことがある。もう少しクリック感が重くても良い。」
- 「説明書が簡素すぎて、初期設定やトラブルシューティングで困ることがあった。」
Razer Stream Controller X はこんな人にオススメ!
Elgato Stream Deckとほぼ同価格帯であることを考慮すると、Razer Stream Controller Xが最適な選択となるユーザーは、より限定的になると言えます。
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Loupedeckソフトウェアの高度なカスタマイズ機能をどうしても利用したい方
Elgato Stream Deckの標準機能では満足できず、Loupedeckソフトウェアが提供する特定の高度なマクロ機能や連携機能を必須と考えるテクニカルなユーザーにとっては、検討の余地があります。ただし、後述するデメリットを許容できることが条件です。
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Razer製品でデバイス環境を統一することに強い価値を見出す方
既に多くのRazer製品を愛用しており、デスク周りのデバイスをRazerで統一することに強いこだわりを持つユーザーで、かつ本製品のデメリット(特に安定性や言語の問題)を許容できるならば、選択肢の一つとなり得ます。
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英語のソフトウェアインターフェースに全く抵抗がない方
Loupedeckソフトウェアが英語のみであることを全く苦にせず、むしろ英語環境での利用を好むようなユーザーであれば、ソフトウェアの言語は問題にならないでしょう。
まとめ:Razer Stream Controller Xは「買い」なのか?
Razer Stream Controller Xは、Elgato Stream Deckという強力な競合製品とほぼ同等の価格帯で市場に投入されています。この価格設定を踏まえると、本製品を選ぶ積極的な理由は慎重に吟味する必要があります。
最大の魅力であるLoupedeckソフトウェアによる高度なカスタマイズ性は、特定のニッチな要求を持つユーザーにとっては響くかもしれません。しかし、その一方で、スリープ復帰時にデバイスが認識されなくなるという安定性の問題は、日常的な使用において大きな障害となり得ます。加えて、ソフトウェアの日本語非対応、Stream Deckに比べて発展途上なプラグインエコシステムといった点も、同価格帯の製品として評価した場合、見過ごせないデメリットです。
結論として、現状のRazer Stream Controller Xは、ほとんどのユーザーにとって、Elgato Stream Deckの方が安定性、使いやすさ、サポート体制の面で総合的に優れた選択となる可能性が高いと言わざるを得ません。Loupedeckの特定の機能に強い魅力を感じ、かつ英語UIや不安定な挙動といったリスクを許容できる一部のユーザーを除いては、積極的におすすめするのは難しい状況です。今後のソフトウェアアップデートによる改善に期待したいところです。





